VOC排出規制の詳細

VOCとは?

Volatile Organic Compounds (揮発性有機化合物)の略語で、常温常圧で蒸発し空気中に容易に揮発する有機化合物質の総称です。

VOC排出規制施行

2005年6月1日に施行され、また、排出基準値や届け出事項、測定方法などの政・省令が2005年6月10日に公布,2006年4月1日より大気汚染防止法の改正に伴い、VOC(揮発性有機化合物)の排出規制が始まりました。

VOC排出規制が何故必要か

VOCは、難分解性であることが多いため浸透して土壌や地下水を汚染したり、大気中に放出されると光化学反応によってオキシダントやSPM(浮遊粒子状物質)の発生源として関与していると考えられ、VOCを原因とする大気汚染での人体に及ぼす影響が懸念されています。

排出基準と規制対象施設

VOC排出施設 規模条件 排出基準
VOCを溶剤として使用する化学製品製造の乾燥施設 送風機の送風能力が

3,000m3/h以上

600ppmC
塗装施設(吹き付け塗装) 自動車製造 送風機の送風能力が

10,000m3/h以上

既設700ppmC
既設400ppmC
その他 700ppmC
塗装の乾燥施設

  (吹き付け塗装、電着塗装を除く)

木材・木製品製造 送風機の送風能力が

10,000m3/h以上

1,000ppmC
その他 600ppmC
印刷回路用銅張り積層板、粘着テープ・粘着シート、剥離紙、包装用紙(合成樹脂用)の製造での接着の乾燥施設 送風機の送風能力が

5,000m3/h以上

1,400ppmC
接着の乾燥施設(上記および木材・木製品製造を除く) 送風機の送風能力が

15,000m3/h以上

1,400ppmC
オフセット輪転印刷の乾燥施設 送風機の送風能力が

7,000m3/h以上

400ppmC
グラビア印刷の乾燥施設 送風機の送風能力が

27,000m3/h以上

700ppmC
工業製品の洗浄施設(乾燥施設を含む) 洗浄剤が空気に接する面の5m2以上 400ppmC
ガソリン、原油、ナフサその他の温度37.8度において蒸気圧が20kPaを超えるVOCの貯蔵タンク(密閉式および浮屋根式を除く) 1,000kl以上(既設タンクについては容量2,000kl以上) 60,000ppmC

排出基準と規制対象施設

 区分 罰則を定めた条文とその内容 猶予措置の内容
排出基準に適合しない事業者が、都道府県知事の改善命令等に従わない場合の罰則 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法第33条) ●排出基準に適合しない事業者が、都道府県による計画変更命令または施設設置計画の廃止命令(法第17条の7)に従わない場合
●排出基準に適合しない事業者が、都道府県によるVOC排出施設の構造、使用方法、またはVOCの処理方法の改善命令(法第17条の10)に従わない場合
届出義務違反 3月以下の懲役又は 30万円以下の罰金 (法第34条) ●新設のVOC排出施設の届出(法第17条の4第1項)を行わなかった場合
●届出事項(VOC排出施設の構造、使用方法、またはVOCの処理方法)の変更があったときの届出(法第17条の6第1項)をしなかった場合
20万円以下の罰金 (法第35条) ●既存施設がVOC排出施設に指定されたときに30日以内の届出(法第17条の5第1項)をしなかった場合
●新設施設の設置に関する届出(法第17条の8)を行ってから60日未満に施設を設置した場合
10万円以下の過料 (法第37条) ●VOC排出施設の事業所の名称・所在地・代表者等が変わったとき、または他人から譲り受けまたは借りた時に、その旨を30日以内に届出(法第17条の12第2項)しなかった場合

必要な装置

VOC排出規制が必要な当該企業にとっては、規制をクリアするため、排ガス燃焼処理装置の導入・増強が欠かせずその対応に迫られています。
排ガス燃焼処理装置は直接燃焼法、触媒燃焼法、蓄熱燃焼法(RTO)に区別されています

  直接燃焼法 触媒燃焼法 蓄熱燃焼法

(RTO)

熱交換機材質 金属 金属 セラミック
熱交換器効率 50~60% 50~60% 80~90%
処理温度 750℃以上 300~500℃ 800~900℃
除去性能
処理物質選択
燃料消費量
自燃濃度 2500~3000ppm 1000~1500ppm 600~1000ppm
適用VOC濃度範囲 低~中
設置面積/重量 大/中 中/中 中/小
長所 イニシャルコスト小
付着性物質含有ガスに対応できる
低温燃焼が可能

熱効率が比較的良い

高温燃焼が可能なため分解効率が高い

広範囲な濃度領域で低燃費処理が可能

熱効率が高いため燃費が少ない

短所

低濃度域では燃費大

処理温度が低いと、熱安定性物質の分解効率が劣る

熱効率が低い

触媒劣化があり適用条件に制約有り

蓄熱帯の閉塞成分(タール・粉塵等)の前処理が必要

中でも蓄熱燃焼法(RTO)は800℃~900℃もの温度で燃焼され、排気に含まれている悪臭物質は二酸化炭素と水に強力に分解されます。
燃焼後の排ガスは蓄熱体と熱交換することで150~200℃にまで冷却され排出されます。*図の着色部分。

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冷却され排出される補修ダクトにおいては、ダクト内に塗料が蓄積するため、ダクトに強度が求められます。
大矢設備ではダクト接合部を全溶接接合することで強度を確保しています。